ロゴ・ブランディング

ロゴのデータは何形式で受け取るべきか

ロゴのデータが「使えない」とはどういう状態か

ロゴを作り直したいというご相談で、現行ロゴのデータをお送りいただくと、画像ファイル1点だけ、ということが珍しくありません。社名の部分がぼやけた画像で、背景が白く塗られていて、拡大すると輪郭が階段状になっている。この状態では、看板にも刺繍にも、箔押しにも使えません。

ロゴは、名刺の数ミリから看板の数メートルまで、同じ形で使われます。使う場面の幅がこれほど広い図形は、ほかにほとんどありません。だからロゴのデータは、1種類では足りません。

「とりあえず使える画像をください」と依頼して画像形式だけ受け取ってしまうと、数年後に別の用途が出たときに、トレース(描き直し)の費用が発生します。描き直すと微妙に形が変わるため、新旧のロゴが社内に併存する原因にもなります。

形式ごとに何ができるのか

ロゴのデータは、大きく「線と面の情報で持っているもの」と「点の集まりで持っているもの」に分かれます。前者は拡大しても輪郭が崩れず、後者は拡大すると粗くなります。

図1

ロゴのデータ形式と役割

上の2つが原本、下の3つは用途に応じて原本から書き出すものです。

形式 種類 主な用途 注意点
AI / EPS 線と面 印刷、看板、刺繍、箔押しの入稿。すべての原本 専用ソフトがないと開けない。必ず受け取る
SVG 線と面 Web、アプリ、資料への貼り込み ブラウザで開けて確認しやすい。原本の代わりにもなる
PDF 線と面 相手に形を正しく渡したいとき。確認用 編集を前提としない。保存設定で画像化されている場合がある
PNG 点の集まり Web、資料、メール署名 背景を透明にできる。サイズ別に複数用意する
JPEG 点の集まり やむを得ない場合のみ 背景を透明にできない。圧縮で輪郭がにじむ

原本はAI(またはEPS)とSVG。PNGは原本から必要なサイズを書き出して使います。

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SVGを必ず含めてもらうことをお勧めしています。専用ソフトがなくてもブラウザで開けるため、社内の誰でも中身を確認でき、Webや資料にもそのまま使えます。

形式のほかに、何種類そろえておくのか

形式がそろっていても、版がそろっていないと現場で詰まります。版というのは、色の違いと配置の違いです。

図2

そろえておく版の組み合わせ

最小構成は色3種×配置2種の6点です。これで大半の用途をしのげます。

色の版(3種)

基本色(コーポレートカラー)/黒1色/白抜き。白抜きは、濃い色の上や写真の上に載せるときに必要です。黒1色はFAX、伝票、ゴム印、刻印で使います。

配置の版(2種)

横組み(マークの右に社名)/縦組みまたはマーク単体。横長の場所と正方形に近い場所の両方に対応できます。

小サイズ用の簡略版(任意)

細い線や小さい文字が入ったロゴは、縮小するとつぶれます。線を太らせた、または要素を省いた版を別に用意しておくと、ゴム印やファビコンで困りません。

色の指定値

データではありませんが、必ず一緒に受け取ります。印刷用(CMYKと、使うなら特色の番号)、画面用(RGBと16進数)。これが無いと再現が揺れます。

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受け取るときに確認する5点

納品されたデータが、形式の名前は合っているのに中身が使えない、ということが起こります。確認は数分で済みます。

図3

納品データの受け取りチェック

制作会社に確認を依頼する形でもかまいません。納品時がいちばん直してもらいやすい時期です。

文字がフォントのままでなく、図形化(アウトライン化)されているか
AI・SVGを拡大して、輪郭が階段状にならないか(中身が画像ではないか)
背景が白い四角で塗られていないか。透明になっているか
余分な余白(ロゴの周囲の空白)が含まれていないか
色の指定値がCMYK・RGBの両方で文書化されているか

文字が図形化されていないデータは、こちらの環境にそのフォントが無いと別の書体に置き換わります。入稿先で形が変わる典型的な原因です。

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保管はどうするか

数年後に困るのは、形式ではなく所在です。前任者のパソコンにしかなかった、依頼した制作会社が廃業した、という相談を受けることがあります。

社内の共有フォルダに「ロゴデータ」という1か所を作り、形式ごとのフォルダ、色の指定値を書いた1枚の資料、制作時の経緯(いつ誰が作ったか)をまとめて置いてください。あわせて、社外に渡す用のフォルダ(SVG・PNG・色指定の3点だけ)を分けておくと、取引先からの依頼にその場で応えられます。

社外にデータを渡すときに添えるもの

取引先や媒体社にロゴを渡す場面では、データだけ送ると意図しない加工をされることがあります。縦横比を変えて引き伸ばされる、別の色で塗られる、周囲に他の要素が寄りすぎる、といったことです。

A4で1枚、使用上の約束をまとめた資料を添えてください。最小サイズ、周囲に確保する余白、やってはいけない加工の例、色の指定値。この1枚があるかないかで、仕上がりの揺れが大きく変わります。

すでに画像しか残っていない場合は

原本が失われている場合、画像から線と面のデータへ描き直す作業が必要になります。元の形に忠実に起こせば、見た目の差は出ません。ロゴをリニューアルする予定があるなら、描き直しの費用をリニューアルに充てる判断もあります。

弊社では、ロゴ制作時に形式5種・色3種・配置2種をそろえてお渡しし、使用上の約束をまとめた1枚を添えています。現行ロゴのデータが画像しか残っていない場合の起こし直しも承っていますので、お手元のファイルの状態でご相談ください。

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