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サービスサイトはコーポレートサイトと分けるべきか──判断基準を5つの質問で整理

よくある分岐点

サイトを作り直すとき、必ず一度は議題に上がるのが「サービス紹介を会社サイトの中に入れるか、別ドメインで独立させるか」です。どちらにも成功例があり、一般論では決まりません。判断を5つの質問に分解します。

質問1:読者は同じ人か

会社サイトの主な読者は、取引先、採用候補者、投資家、金融機関、報道関係者など多岐にわたります。サービスサイトの読者は、その製品・サービスの検討者に絞られます。

読者が明確に違い、かつ検討者向けの情報量が多いなら、分ける理由があります。逆に、訪問者のほとんどが「この会社は何をしているのか」を知りたい層なら、分けると入口が分散するだけです。

質問2:サービスはいくつあるか

サービスが1つ、あるいは主力が明確に1つなら、分ける必要はほぼありません。会社サイトのトップページがそのままサービスの説明になります。

3つ以上あり、それぞれ検討期間も価格帯も異なる場合、1つのサイトに同居させると各サービスの説明が浅くなります。この場合は、会社サイトの中で階層を分けるか、独立させるかの検討に入ります。

 サービスサイトの3つの構成パターンを示す階層図

質問3:更新の主体は誰か

見落とされがちですが、運用上は最も大きい要素です。

  • 会社サイト:広報・総務が更新。頻度は低く、決裁は重い
  • サービスサイト:事業部やマーケティング担当が更新。頻度は高く、スピードが要る

この2つの更新リズムが大きく違う場合、同じCMS・同じ承認フローに乗せると、速いほうが遅いほうに引きずられます。分離の実務的な理由として、これが最も説得力を持ちます。

会社サイト(低頻度・重い承認)とサービスサイト(高頻度・軽い承認)を、時間軸上の更新点の密度で対比。
alt: コーポレートサイトとサービスサイトの更新頻度の違いを示す図

質問4:検索評価をどう扱うか

ドメインを分けると、そのドメインは評価をゼロから積み上げることになります。会社サイトが既に一定の評価を得ている場合、サブディレクトリ(example.co.jp/service/)に置くほうが立ち上がりは早くなります。

一方、サービス名での検索を育てたい、将来的に事業譲渡や分社化の可能性がある、といった事情があれば、独立ドメインに合理性があります。**中間解として、サブドメイン(service.example.co.jp)**という選択もあります。

質問5:運用コストを2本分払えるか

分けるということは、サーバー、CMS、SSL、保守、セキュリティ更新、デザインの整合維持を2セット持つということです。制作費だけでなく、毎年の維持費と、担当者の工数が2倍になります。

小規模な体制で2本を持つと、片方が更新されないまま古くなり、信頼を損ねます。運用できる体制があるかどうかが、最後の関門です。

判断の目安

状況推奨
主力サービスが1つ分けない
サービス3つ以上、読者も価格帯も違う階層分離またはサブドメイン
事業部が独自に高頻度で更新したい分離
将来の分社・譲渡の可能性がある独立ドメイン
運用担当が実質1名分けない
サイト分離の判断基準を状況別に整理した表

分けない場合の工夫

分けないと決めた場合でも、読者の混在は解消できます。トップページで用件別の入口(サービスを探す/会社を知る/採用情報/お問い合わせ)を明示し、サービス配下は独立したナビゲーションを持たせる。見た目は1サイトでも、体験としては分かれた状態を作れます。

分離した後によく起きる問題

分離を選んだ場合、公開後に次の問題が出てきます。着手前に対策を決めておくと、後から慌てずに済みます。

デザインが乖離する。 別々に更新するうちに、ロゴの使い方、色、書体がずれていきます。共通のデザインルールを1枚にまとめ、両方の運用担当者が参照できる場所に置きます。

相互のリンクが切れる。 会社サイトからサービスサイトへのリンクはあるが、逆がない、という状態が起きがちです。両サイトのグローバルナビゲーションに、相互のリンクを必ず入れます。

問い合わせの受け皿が二重になる。 どちらのフォームから来たかが分からないと、対応する部署が判断できません。フォームに識別項目を入れておきます。

保守の契約が別々になり、対応が遅れる。 緊急時にどちらの業者に連絡するかが不明確になります。窓口を一本化するか、対応範囲を明文化しておきます。

中間解:1サイト内で「見え方」を分ける

分離のメリットの多くは、実は1サイト内でも得られます。

  • サービス配下に専用のヘッダー・ナビゲーションを持たせる
  • サービスごとに独立したトップページ(ランディング)を用意する
  • CMSの権限を分け、事業部が自部門の配下だけを更新できるようにする
  • サービス名でのディレクトリ構成にして、URLでも独立性を示す

3つ目が、分離を検討する動機の大半を解消します。更新の速度が問題なのであれば、承認フローを分けるだけで解決する場合があります。ドメインを分ける前に、この選択肢を検討する価値があります。

判断のタイミング

この判断は、リニューアルの初期段階——構成を決める前に済ませる必要があります。デザインが進んでから構成を変えると、作業が大きく戻ります。逆に言えば、この議論に時間をかけるのは初期だけです。

まとめ

分離の判断は、デザインの好みではなく、読者・サービス数・更新体制・検索・運用コストの5点で決まります。特に更新体制と運用コストは、公開後に効いてくる項目です。制作段階では見えにくいため、発注前に確認しておくことをおすすめします。

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