BtoCのLP論はそのまま使えない

LPの解説記事の多くは、BtoCの即決購買を前提にしています。ファーストビューで心をつかみ、限定性と緊急性で背中を押し、その場で申し込ませる。この型はBtoBではほとんど機能しません。
理由は3つあります。訪問者は決裁権を持っていないことが多く、検討期間が数週間から数か月に及び、最終的に複数人が判断するからです。その場で押し切ることが目的にならないなら、構成も変わります。
BtoB LPの役割は「持ち帰れる材料を渡すこと」
BtoBのLPが果たすべき役割は、訪問者を今すぐ契約させることではなく、その人が社内で説明できる状態にすることです。読み終えたときに、上司への一言目が用意できているかどうか。ここを基準にすると、必要な要素が見えてきます。

推奨する構成順
1. 冒頭:誰の何を解決するかを、業種と規模まで含めて書く
「業務を効率化します」では、自分ごとになりません。「製造業の営業部門で、見積作成に時間がかかっている場合」と具体化します。絞ることで取りこぼすことを恐れないでください。絞られていないLPは、誰にも刺さらない代わりに、誰も社内で説明できません。
2. 課題の言語化
訪問者がまだ自分の状況を説明できていない場合、ここで言葉を与えます。箇条書きで3〜5点。自社の売り文句ではなく、相手が口にしている表現を使います。営業ヒアリングの録音から拾うのが確実です。
3. 解決の方法(何をするのか)
サービス名や機能名を並べる前に、実際に何が行われるかを書きます。「◯◯システムを導入」ではなく「現状の見積書式を回収し、入力項目を洗い出したうえで、テンプレートを再設計します」。手触りのある記述が、比較段階での判断材料になります。
4. 費用の考え方
総額を出せないなら、レンジと変動要因を書きます。「50万円〜/ページ数と取材本数で変動」という一行があるだけで、検討から外れる確率が下がります。価格を書かないLPは、予算が合うかどうかを確認するためだけの問い合わせを生みます。営業工数の観点でも損です。
5. 進め方とスケジュール
初回打ち合わせから納品までを、週単位で図示します。社内稟議の材料として、最も引用されやすいセクションです。
6. 事例
ロゴの羅列ではなく、1〜2件を深く。課題、与件、実施内容、結果の順で。守秘義務がある場合は業種と規模だけでも構いません。
7. よくある質問
比較検討で必ず聞かれることを先回りします。契約期間、修正回数、著作権の帰属、途中解約、担当体制。答えにくい質問ほど、書いてある価値が高いです。
8. 次の行動
問い合わせだけでなく、資料ダウンロード、相談会、事例集など、段階の違う出口を用意します。まだ検討中の人が、関係を切らずに離脱できる経路が必要です。

避けたほうがよい表現
- 根拠のない最上級表現(「業界No.1」等は表示の裏付けが必要です)
- 過度な緊急性の演出(BtoBでは不信感につながります)
- 効果の断定(「必ず◯◯できます」)
- 出典のない数字
特に最上級表現については、景品表示法の観点から、客観的な調査に基づく合理的な根拠が必要とされています。調査の対象や期間が不明確なまま掲載すると、問題になり得ます。

検証の仕方
BtoBのLPは、CVRだけで評価すると誤ります。件数が少ないため、数字が安定しないからです。次の3点を併せて見ます。
- スクロール到達率(費用セクション・進め方セクションに何割が到達したか)
- 資料ダウンロードの内容(何を持ち帰ったか)
- 商談での言及(「サイトで見た」と言われた項目は何か)
3つ目は営業へのヒアリングで拾います。数字より早く、改善の方向が分かります。
資料ダウンロードを挟むかどうか
BtoBのLPでは、問い合わせの前段に資料ダウンロードを置く設計がよく使われます。有効な場合と、そうでない場合があります。
有効な場合:検討期間が長い、比較対象が多い、担当者が社内説明の材料を必要としている。
不要な場合:既にサービス内容が明確で、価格と進め方さえ分かれば判断できる。この場合、ダウンロードを挟むとむしろ一手増えるだけです。
判断の目安は、そのLPを見た人が、上司に説明する必要があるかどうかです。必要があるなら、渡せる資料を用意する価値があります。
フォームの設計
BtoBのフォームで必要な項目は多くありません。
- 会社名/氏名/メールアドレス(必須)
- 電話番号(任意)
- 相談内容(選択肢+自由記述)
- 検討時期(選択肢:すぐ/3か月以内/未定)
「検討時期」を入れておくと、営業の優先順位付けに使えます。自由記述を必須にすると離脱が増えるため、任意にします。
1枚で完結させるか、ページを分けるか
BtoBのLPは縦に長くなりがちです。情報量が多い場合、次のどちらかを選びます。
1枚に収める:スクロールで完結。目次を冒頭に置き、各セクションにアンカーリンクを張る。印刷して社内に回せる利点があります。
ページを分ける:サービス概要/料金/事例/導入フローを別ページに。検索経由で個別ページに着地させたい場合に有利です。
社内説明に使われる頻度が高いなら、1枚型が扱いやすくなります。PDFとして保存でき、そのまま会議に持ち込めるためです。
まとめ
BtoBのLPは、説得の道具ではなく説明の道具です。訪問者が社内で話すときの原稿を渡すつもりで構成すると、必要な要素と順番が自然に決まります。
LP単体のご相談でも、既存ページの改善からでも対応しています。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の表示に関する法的判断については専門家にご確認ください。
