発注・進行

デザインはインハウス化すべきか、外注すべきか

判断の基準は「量が読めるかどうか」です

結論から申し上げます。インハウス(社内)に置くべきか外に出すべきかは、デザインの難易度ではなく仕事の量が読めるかどうかで決まります。毎月決まった量が発生する仕事は社内に置いたほうが速く、年に数回しか発生しない仕事は外に出したほうが安くなります。

外注している会社からは「社内に人がいれば速いのに」というお話をうかがい、採用した会社からは「思ったほど楽にならなかった」というお話をうかがいます。どちらも、仕事の種類を分けずに全体で判断しているために起きています。

仕事を2種類に分けると、線が引けます

図1

量が読める仕事と、読めない仕事

同じ「デザイン業務」の中に、性質の違う2種類が混ざっています。

量が読める(社内が向く)
サイトの更新・バナー差し替え
SNS投稿用の画像
既存テンプレートでの資料作成
展示会・セミナーの告知物
価格表・仕様書の改版
→
量が読めない(外が向く)
ロゴ・ブランドの刷新
サイトの全面リニューアル
会社案内・総合カタログの新規制作
パッケージの新規開発
看板・サイン計画

右側は数年に一度しか発生しません。そのために常勤の人を雇うと、通常期に仕事がなくなります。

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右側の仕事を社内に抱えると、もうひとつ問題が起きます。年に一度の大仕事のために雇った人の手が空く期間、右側以外の仕事が回ってきます。その結果、採用時に期待していた領域とは別の作業で日々が埋まり、本人も会社も納得できない状態になります。

社内に置くべきなのは、手ではなく判断です

ここが本題です。外注を続ける場合でも、社内に残しておかなければならないものがあります。それは制作の手ではなく、判断の権限と基準です。

図2

社内に必要な役割(手を動かさなくてよい)

この役割がないと、外注先を何社変えても結果が安定しません。

1

目的を決める

何のために作るのか、終わったら何がどう変わっていればよいのかを文章にできる

2

社内の意見をまとめる

部署ごとの要望を集め、優先順位を付けて1つの指示にできる

3

基準を持つ

ロゴの使い方、色、言葉の表記を一覧で持ち、逸脱を指摘できる

この3つは外注できません。外注先が決められるのは「どう作るか」だけで、「何のために作るか」はお客様側にしかない情報です。

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弊社の経験で申し上げると、外注がうまく回っている会社には、必ずこの役割を担う方がいらっしゃいます。その方はデザインができる必要はありません。社内の要望を1本にまとめ、「今回はこれを優先する」と言える立場であることが条件です。

逆に、この役割が空席のまま外注すると、各部署の要望が制作会社に直接届き、途中で指示が変わります。修正回数が増え、費用が膨らみ、できあがったものは誰の期待にも応えていない、という結果になります。

兼任にすると、最初に止まるのはどこか

専任を置けない場合、広報や総務の方が兼任することになります。このとき最初に止まるのは、制作ではなく公開後の運用です。

サイトのリニューアルは期限があるので進みます。しかし、公開後の更新、記事の追加、問い合わせの分析——これらは期限がないため、本業に押し出されます。弊社が拝見してきた中で、兼任体制で止まるのはほぼこの順番です。

図3

体制の選び方(量と判断の2軸)

採用の前に、中間の選択肢を検討してください。

状況 向いている体制
毎月一定量の更新がある 社内に1名(デザイナーまたは編集ができる方)。大型案件のみ外注
更新はあるが量が少ない 社内に判断役を置き、制作は月額の範囲で継続的に外注する
数年に一度の大型案件のみ 案件ごとに外注。社内はテンプレートの運用のみ
判断役が置けない まず判断役を決める。体制の形はその後で決める

2行目の「継続的に外注」は、都度見積もりの案件発注とは別の形です。月の範囲を決めて小さな依頼を受ける形にすると、更新が止まりません。

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採用を検討する前に確かめること

社内にデザイナーを採用する判断をする前に、次の3点をご確認ください。

  • 年間の発生量を数える。過去1年に外注した件数と金額を並べます。想像より少ないことが多いです。
  • 評価できる人がいるか。社内に評価者がいない状態で1人目のデザイナーを採用すると、本人の成長も評価も止まります。
  • 設備と素材が揃うか。ソフトのライセンス、書体、写真素材、過去データの整理。採用後にこれらの不備が発覚する例が多くあります。

どちらを選んでも、揃えておくもの

最後に、体制に関係なく効く準備を申し上げます。ブランドの基準と、素材の置き場所です。

ロゴの使用規定、色の指定、書体、製品写真、過去の制作データ。これが1か所に整理されていれば、社内で作る場合も外注する場合も立ち上がりが速くなります。外注先を変えるときの引き継ぎも、ここが揃っているかどうかで日数が変わります。逆にここが散らばっていると、どの体制を選んでも毎回探す時間から始まります。

弊社では、案件ごとの制作に加えて、更新業務を継続的にお引き受けする形や、社内の判断役の方と一緒に基準・素材を整える形でのご支援もしております。体制をどうするか決めかねている段階で、現状の発生量の棚卸しからご相談いただくことも可能です。

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