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展示会ブースは、デザインより先に規約から決まります

ブースの設計は、どこから始めるのか

結論から申し上げます。配色やキャッチコピーより先に、会場の出展者向け規約を読むことです。装飾の高さ、通路の幅、使える材料、届出の期限——これらは会場と主催者が定めており、デザインで動かせません。

弊社が展示会ブースのご相談をいただく際、最初にお願いするのは「出展者マニュアル(出展規約)のPDFをお送りください」です。これを読まずに意匠から入ると、審査で修正が入り、搬入直前の作り直しになります。

規約で決まっていることは、具体的に何か

会場ごとに数値は異なりますが、定められている項目はおおむね共通しています。参考として、東京ビッグサイトが公開している防災ガイドラインに示されている内容を挙げます。

図1

会場規約で定められている主な項目

いずれも設計の初期段階で寸法に影響します。

項目 定めの例(東京ビッグサイト)
装飾の高さ パーテーション・展示パネルは原則3m以下。スプリンクラーの散水を妨げない高さとする(西1〜4ホール・アトリウム)
屋根付きの工作物 壁のない屋根・天井のある工作物は面積50㎡以下、高さ3m以上7m以下(ホールにより3〜5m等)
避難通路 主要避難通路は幅5m以上、補助避難通路は幅3m以上で区画ごとに2本以上
小間内の避難距離 小間内から避難通路までの歩行距離は30m以内
消防設備 操作が必要な消火栓・警報設備の周囲2m以内に物を置かない。誘導灯・誘導標識の視認を妨げない

出典:東京ビッグサイト「防災ガイドライン」。数値は会場・ホールにより異なります。出展する会場の最新版を必ずご確認ください。

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注意していただきたいのは、同じ会場でもホールによって数値が違う点です。高さの上限や工作物の条件が、東ホールと西ホールで分かれている例があります。「前回と同じ装飾を使い回す」という判断が通らないことがあるのは、このためです。

材料には、消防法上の義務があります

装飾に使う材料には、消防法に基づく決まりがあります。消防法第8条の3により、防炎対象物品は防炎性能を有するものを使用しなければならないとされています。

対象となる品目として、カーテン、合板(台・バックスクリーン・仕切り等)、布製のつい立、装飾幕・紅白幕、映写用スクリーン、布製ブラインド、暗幕、じゅうたん、人工芝、カーペット、ござ、工事用シートなどが挙げられています。

図2

材料を選ぶときの確認点

見た目が同じでも、防炎性能の有無で使えるかどうかが変わります。

確認が必要なもの

✕ 装飾用に買ってきた布を、防炎ラベルの確認なく吊る
✕ 合板の裏面に表示のないものを、パネルの下地に使う
✕ 海外で調達したカーペットを、国内の認定を確認せず敷く

押さえておく点

○ 防炎ラベルは登録を受けた業者だけが付けられる
○ じゅうたん等は、簡単にはがれない位置(主要な出入口付近)に施工する
○ 合板は、裏面に表示があるものを使う
○ 外国製品は、国内で認定を受けたもの、または国内の登録確認機関の認定を受けたものを使う
○ 対象外の装飾品でも、防炎性能のあるものを使うよう努める

出典:東京ビッグサイト「防災ガイドライン」。装飾業者に施工を依頼する場合は、ラベルの確認を含めて依頼範囲に入れてください。

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届出には期限があります

火気を使う、危険物を持ち込む、誘導灯を増設する、大型の変電設備を持ち込む——こうした行為には、消防署や会場への届出が必要です。しかも、搬入日ではなく開催日や着工日から逆算した期限があります。

東京ビッグサイトの防災ガイドラインでは、禁止行為の解除承認申請(裸火の使用・危険物品の持込み)は開催14日前まで、催物の開催届出書は開催7日前まで、誘導灯を計6個以上増設する場合の消防用設備等設置計画届出書は着工14日前まで、といった期限が示されています。

実務上のポイントは、この期限がデザインの決定期限を決めてしまうことです。コーヒーのサービスで火気を使う、調理の実演をする、といった企画は、開催2週間前の時点で申請内容が確定している必要があります。「当日の演出は直前に詰める」という進め方ができません。

図3

ブース計画の順番

規約の確認から入ると、後戻りが起きません。

STEP 1
規約を読む
出展するホールの高さ制限・通路・材料・届出期限を抜き出す
→
STEP 2
小間を読む
角小間か中小間か。通路からどの面が見えるかを確認する
→
STEP 3
見せる1点を決める
遠くから読ませる言葉を1つに絞る
→
STEP 4
意匠と施工
寸法と材料の制約の中で設計する。届出を並行で進める

STEP 2を飛ばすと、通路から見えない面に主要なメッセージを置く設計になります。小間の位置が決まってから意匠に入ってください。

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遠くから読ませる言葉は、1つに絞ります

規約の話が長くなりましたが、設計上の要点はもう1つあります。通路を歩く来場者がブースを認識するのは、数メートル手前の、わずか1〜2秒です。この時間で読めるのは、1つの短い言葉だけです。

弊社の経験では、ブースの上部に掲げる言葉は10文字前後に収まっていると機能します。会社名だけを大きく出す例も多く見かけますが、社名を知らない相手には何屋かが伝わりません。「何をしている会社か」が1行で分かる言葉を、社名より大きく出すほうが足は止まります。細かい説明はブース内のパネルに任せてください。

弊社では、出展規約の読み込みから、ブースの構成、掲出物・配布物のデザインまでを通してお引き受けしています。初めての出展で何から決めればよいか分からない、という段階からご相談いただけます。

参考出典

  • 東京ビッグサイト「防災ガイドライン」(展示会等における防火・防災上の基準)
  • 消防法第8条の3(防炎対象物品の防炎性能)

本記事は執筆時点(2026年10月)に公開されている資料に基づく一般的な整理です。装飾の高さ・通路幅・届出期限・使用できる材料は、会場・ホール・主催者によって異なります。実際の出展にあたっては、必ず当該展示会の出展者マニュアルおよび会場の最新の規約をご確認のうえ、主催者・会場・所轄消防署にご相談ください。

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