看板・POP・パッケージ

商品パッケージに「入れなければならない表示」をデザインの前に押さえる

デザインを作ってから表示欄を足すと、なぜ崩れるのか

パッケージのご相談で、表のデザインが仕上がってから「裏面の表示を入れる場所がない」という事態に至ることがあります。表示の項目は法令で決まっており、省くことも、読めない大きさに縮めることもできません。

結果として起きるのは、せっかく仕上げた表のデザインの縮小か、パッケージ自体のサイズ変更です。どちらも版の作り直しになり、費用と日程に跳ね返ります。

順序を逆にするだけで防げます。まず表示に必要な面積を確保し、残った面積でデザインを組む。弊社では、食品や化粧品のパッケージでは、表示欄の寸法を最初の打ち合わせで確定させるようお願いしています。

一括表示には何を入れるのか

加工食品の場合、容器包装の見やすい場所に、決められた項目をまとめて表示します。これを一括表示と呼びます。

図1

加工食品の一括表示の主な項目

品目や販売形態によって必要な項目は変わります。下記は代表的な構成です。

項目 内容
名称 その食品の内容を表す一般的な名称
原材料名 重量の多い順。添加物は区分して表示する
アレルゲン 特定原材料等。個別表示か一括表示のいずれかの方式で
内容量 重量、体積、個数など
期限表示 消費期限または賞味期限
保存方法 開封前の保存の条件
原料原産地名 対象となる品目の場合
表示責任者 製造者・加工者・販売者等の氏名または名称と所在地
栄養成分表示 熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量

これは項目の概要です。自社の品目で必要な項目は、消費者庁の食品表示基準と関連する通知でご確認ください。

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デザイン側で押さえておきたいのは、この一括表示が「枠で囲んでまとめる」形式であることです。情報をパッケージ各所に散らすデザインはできません。

文字の大きさは自由に決められないのか

決められません。食品表示基準では、表示に用いる文字の大きさに下限が定められています。表示可能面積が150平方センチメートルを超えるものは8ポイント以上、150平方センチメートル以下のものは5.5ポイント以上とされています。

この規定が、表示欄の面積を決めます。項目数と文字数が決まれば、8ポイントで組んだときに何平方センチメートル必要かは計算できます。デザインの検討に入る前に、この面積を押さえておくのが実務の勘所です。

図2

パッケージ制作の進め方

表示の確定を先に置きます。順番を入れ替えると、ほぼ作り直しになります。

STEP 1
原稿の確定
一括表示の全文を文字で確定させる。品質管理の担当者と確認
→
STEP 2
面積の確保
規定の文字サイズで組んだ寸法を出し、裏面に場所を取る
→
STEP 3
デザイン
残った面積で表面と裏面を組む
→
STEP 4
最終確認
実寸出力で読めるかを確認し、表示の内容を再度照合する

STEP 1を仮の原稿で進めると、文字数が増えたときに面積が足りなくなります。確定原稿でお願いしています。

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2026年の改正で何が変わったのか

食品表示基準は改正が続いています。2026年(令和8年)4月1日付けの改正では、アレルギー表示に関する変更が含まれています。

図3

2026年改正のアレルギー表示に関する主な変更

経過措置が設けられているため、既存のパッケージを即日差し替える必要はありません。

変更の要点

カシューナッツが、表示を推奨する品目から、表示が義務づけられる特定原材料へ移行しました。これにより特定原材料は9品目となります。あわせてピスタチオが推奨品目に加わり、推奨品目は20品目、合計で29品目となります。

経過措置の期間

アレルギー表示に関する改正については2028年3月31日まで、個別品目の表示ルールの改正については2030年3月31日までの経過措置が設けられています。

改正の内容と経過措置の扱いは、必ず消費者庁の公表資料で現時点の状況をご確認ください。本図は2026年10月時点で確認した内容です。

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パッケージのデザインを新規に作る、あるいは改訂する機会があるなら、この経過措置の期間内に対応を織り込んでおくのが効率的です。表示のためだけに版を作り直すより、デザイン改訂の機会に合わせたほうが費用が抑えられます。

食品以外のパッケージはどうか

食品以外にも、品目ごとに表示の規定があります。衣料品や家庭用品には家庭用品品質表示法、化粧品には医薬品医療機器等法にもとづく表示の規定があります。いずれも、必要な項目と表示の方法が定められています。

デザインの進め方は食品と同じです。表示の原稿を先に確定し、面積を確保してから意匠を組みます。どの法令が適用されるかは品目によって異なりますので、該当する所管官庁の情報、または専門家の確認を経てください。

読みやすさのために何ができるか

法令上の下限を満たしていても、読みにくい表示は問い合わせを増やします。弊社では、下限よりわずかに大きく組む、罫線を細くする、項目名と内容の列をそろえる、背景を白地にする、といった調整をしています。

とくに背景は重要です。地模様や薄い色の上に表示を載せると、印刷の個体差で読めなくなることがあります。表示欄は白地で確保してください。

制作側に渡す原稿の形

表示の原稿は、文字データとして渡していただくのが確実です。他社製品の写真や手書きのメモからの書き写しは、誤字が入る余地が生まれます。表示の内容に誤りがあった場合、責任は表示責任者にあります。

本稿は制度の概要を整理したものであり、個別の表示内容についての法令判断ではありません。実際の表示は、消費者庁「食品表示基準」および関連する通知・Q&Aをご確認のうえ、必要に応じて専門家や所管官庁にご相談ください。

弊社では、パッケージのデザインに先立って表示欄の寸法を算定し、表示原稿を組み込んだ状態でご提案しています。既存パッケージの表示欄の読みやすさの点検も承っていますので、改訂をご検討の際はご相談ください。

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