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施設の誘導サインを計画する順番

貼り紙が増えていく施設は、何が起きているのか

工場や事務所の受付に、手書きの矢印や印刷した案内が何枚も貼られている。弊社が現地を拝見すると、かなりの頻度で見かける景色です。

これは現場の方が丁寧に対応した結果です。来訪者が迷ったたびに1枚足す、という対応を繰り返すと、数年でこうなります。ただし貼り紙が増えるほど、どれを読めばよいか分からなくなり、迷う人は減りません。

誘導サインは、1枚ずつ足していくと機能しません。来訪者がどこから入り、どこで分かれ、どこへ向かうかという経路の全体を押さえてから、必要な地点に必要な情報だけを置く。この順番でしか解決しないものです。

来訪者の経路は4段階に分かれる

サインの役割は、置かれる場所によって違います。同じ大きさ、同じ情報量のサインを並べても機能しないのは、この違いを見ていないからです。

図1

経路の4段階と、各段階で必要な情報

段階が進むほど情報は細かく、文字は小さくなります。逆転すると迷いが生まれます。

段階 場所 伝えること 読む距離
①到着 敷地の入口、道路沿い ここが目的の会社だと分かること 20〜50メートル
②分岐 駐車場、建物の分かれ道 来客はどちらへ進むか。1方向だけ示す 5〜15メートル
③入口 玄関、受付 何をすればよいか(呼び出し、記名など) 1〜3メートル
④室内 廊下、各室の扉 部室名、番号 1〜3メートル

読む距離は、サインの文字サイズを決める根拠になります。段階ごとに大きさを変えるのが前提です。

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よく起きる失敗は、①の段階に細かい情報を載せることです。社名、事業内容、受付時間、駐車場の案内を1枚に詰め込むと、車で近づく人は何も読めません。①で必要なのは社名だけです。

迷いが起きる場所はどう見つけるか

サインを設計する前に、実際にどこで迷われているかを確認します。これは図面を見ても分かりません。

図2

迷う地点を洗い出す手順

所要半日で済みます。ここを飛ばすと、必要のない場所にサインを付けることになります。

1
受付と現場に聞く

「どこで電話がかかってくるか」を聞く。迷った来訪者は必ず電話します。その場所が最優先の地点です

2
初めて来る人に歩いてもらう

事情を知らない人(新入社員、取引先)に、案内なしで受付まで行ってもらい、立ち止まった場所を記録する

3
図面に印を付ける

立ち止まった地点、電話がかかる地点、現行の貼り紙の位置を1枚の図面に落とす

4
地点を絞る

印の集まった場所だけにサインを置く。印のない場所の貼り紙は外す

既存の貼り紙を外すことも設計の一部です。情報が減ると、残ったサインが読まれるようになります。

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サインの種類を分けて考える

施設内のサインは、役割で4つに分かれます。混ぜて1枚にすると、どちらの役割も果たせません。

図3

サインの4分類

同じ板に複数の役割を載せないことが、読みやすさの基本です。

1

記名サイン

「ここが何か」を示す。社名板、室名札。動かない情報なので、恒久的な素材で作る

2

誘導サイン

「どちらへ」を示す。矢印と行き先。1枚に示す方向は少ないほどよい

3

案内サイン

全体図、フロア図。立ち止まって読む場所に置く。歩きながら読める場所に置いても使われない

4

規制サイン

立入禁止、安全帯着用、撮影禁止。法令や安全上の要請にもとづくもの。他と混ぜない

規制サインは、法令や社内の安全基準に根拠があります。デザイン上の都合で色や形を変えないでください。

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文字の大きさと色はどう決めるか

読む距離が決まれば、文字の大きさの目安が出ます。弊社では、読ませたい距離1メートルあたり文字の高さ3〜4ミリを下限の目安としています。10メートル先から読ませるなら30〜40ミリ以上です。

これは経験則にもとづく目安であり、照明の明るさ、背景の色、読む人の年齢によって必要な大きさは変わります。実寸で出力して現地に貼り、実際の距離から見て確認するのが確実です。

色については、文字と背景の明暗の差を十分に取ってください。紺地に白文字、白地に紺文字はよく機能します。一方、同じくらいの明るさの色を組み合わせると、色覚の特性によっては区別がつかなくなります。

屋外のサインで気をつけることはあるか

敷地の入口に出す看板は、建物から離れた位置に設置する場合や一定の大きさを超える場合に、自治体の屋外広告物条例にもとづく許可が必要になることがあります。基準は自治体ごとに異なります。

本稿は一般的な考え方の整理であり、個別の設置が許可の対象になるかどうかの判断ではありません。計画の段階で、設置先の自治体の屋外広告物担当窓口にご確認ください。あわせて、建築基準法や消防法の規定が関わる場合があります。

段階的に進める場合の優先順位

一度にすべてを作り替える予算がない場合は、①到着と②分岐から着手してください。この2段階で迷いの大半が解消します。室名札のような④は、使う人が社内の方であり、迷いの影響が小さいためです。

弊社では、現地を拝見して迷う地点を洗い出し、経路の4段階に沿ったサイン計画をご提案しています。既存の貼り紙の整理と、必要な地点の絞り込みだけのご依頼も承っていますので、まずは現状の図面をお手元にご相談ください。

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